第6節 標準作業にもとづく作業のすすめ方


監督者は、作業者に標準作業の遵守を徹底することが大切である。

どんなに立派な標準作業票でも、作業者がこれを守らなければ工程の安定はなく、監督者は事故対策、不良対策などに奔走しなければならなくなり、多くのムダを造りだすことにつながる。

また、作業者に標準作業を理解させて守らせるためには、まず監督者自身が十分こなし、作業者が納得するように、十分教え込むことが必要である。そして、標準作業を守らなければいけない理由を十分説明し、守らなかったらどうなるかを具体的に教え込み、作業者が良い製品を造るのだという意欲や、品質に対する責任を持たせるなど、精神面の啓発をおこなわなければならない。

監督者は、標準作業実施の結果をチェックし、異常については、原因の徹底的追求と原因に対する適切な処置を講じなければならない。

標準作業が守られなかった場合には、守られなかった原因を追求し、その上で、だれにでも簡単に守られる標準に変えなければいけない。

一方、標準作業が守られていて異常が発生したときは、徹底してその原因を追求しなければならない。その結果、標準作業自体に不備な点のあることがわかったら、すみやかに修正し、修正内容、理由を全員に徹底することが大切である。

監督者は、常に事実に基づいて、物を考えたり、言ったりする態度が重要である。 そのためには、標準作業のやり方をチェックし、現場での実地指導がなされなければならない。 そこで監督者は、作業者が標準作業どおり作業しているか、さらに、その重点を十分把握しているかなど、たえず現場を巡回してチェックし、実態をつかみ、その場で作業のやり方について、実地指導をおこなう事が必要である。 指導する場合には、TWlの仕事の教え方(JI)を活用して、効果的におこなうことが大切である。

「現在ある標準作業が唯一最善のものである。だから改善の余地はない」などと言えるものではない。標準作業は生きていて、常に未完成である。だから監督者は、標準作業に不備な点がどこにあるかを観察し、ごく小さい異常でも見逃さないようにしなければならない。

標準作業は改善の母体である。標準作業は一度設定したら、もうこれでよいというものではない。標準作業は、改善の積み重ねの結果生まれたものであるが、いまある標準は、ムダで埋まっていると思って、常に改善により新しい標準作業を生んでいかなければならない。

世の中は常に進歩し続けている。そして、新しい方法が次から次へと生まれている。その流れに追従するだけでは、現状維持にとどまっていることになる。

したがって、標準作業がいつまでたっても変わらないような職場、改善をしつくしたとして現状維持で十分満足し、問題がないと思っているような職場があるとすれば、それは相対的に退歩である。監督者は常に前向きに改善をおこない、標準作業の改訂をしていくことが現場の監督者の任務である。